2012年10月15日月曜日

トレードシステムの性能の統計的調査法(2)

トレードシステムの性能評価を行うための統計的手法はいろいろ考えられますが、
ここではブートストラップ法を利用してトレードシステムの性能の統計的な調査を行うことにします。
ブートストラップ法は、再標本化法に分類される統計的推論の手法で、モンテカルロ法の一種であると考えることができます。
ここでは、市場の価格時系列データを回帰モデルで表すことを考えて、その回帰問題にブートストラップ法を適用することを考えます。より具体的には、以下のようなことを行います。
  1. 市場の価格時系列データをもとに回帰モデルを構築します。
  2. そのモデルでの残余を再標本化することにより、仮想的な価格時系列データを多数作ります。
  3. 作成した仮想的な価格時系列データにトレードシステムを適用します。
  4. その仮想的な価格時系列データでのトレードシステムの性能を統計的に解析を行います。
次回から、より詳しい説明を行っていきます。

2012年10月1日月曜日

トレードシステムの性能の統計的調査法(1)

今回から何回かにわたってトレードシステムの性能を統計的に調査するための手法の一つを説明したいと思います。
 
まずその背景のまとめから書いていきます。
 
学術の世界において古くは、株式などの金融資産の資産価格過程は幾何ブラウン運動でモデル化されてきました。資産価格過程が幾何ブラウン運動であるとすると、その対数収益はマルチンゲールとなるため、原理的にトレードシステムでの期待収益は0になってしまいます。すなわち、期待収益が正になるトレードシステムは存在しないことになります。
 
しかしながら、近年の実証研究の結果によると、資産の収益率の分布は非対称性およびヘビーテイルの性質を持っていて、将来の価格の動きは過去の価格の動きの履歴に依存する性質があると考える方が自然であると考えられるようになってきています。そのため, これらの性質を持たない幾何ブラウン運動で資産価格過程をモデル化することは適切ではないと考えられるようになってきています. 
 
上述のように、資産価格過程が幾何ブラウン運動に従うと仮定した場合、過去の価格の動きの履歴に基づいて取引を行うトレードシステムの有効性は完全に否定されることになります. そのため, 学術的な世界においては, 伝統的にはトレードシステムの有効性は完全に否定されており、ゆえにトレードシステムの有効性に関する研究もほとんど行われてきませんでした。しかしながら、資産の収益率の分布が非対称性およびヘビーテイルの性質を持っていて、将来の価格の動きは過去の価格の動きの履歴に依存する性質がある非効率性が市場にあるならば、有効性を持つ取引システムが存在するかもしれません。
 
例えば、Brockら[1]は、単純なテクニカル手法を使用することで、統計的に意味のある利益を得ることが出来る可能性があることを60年間のDow Jones Indexを調べて報告しています.
 
[参考文献]
[1] W. Brock, J. Lakonishok, and B. LeBaron, "Simple Technical Trading Rules and the Stochastic Properties of Stock Returns," Journal of Finance, 47(5), pp.1731-1764, 1992.

2012年9月16日日曜日

確率論における3つのタイプの収束定理(6)

3つのタイプの収束定理の3番目の大偏差原理 (Large deviations principle)について論じます。
 
大偏差原理とは、大まかに言えば、確率分布列のテイルの漸近的な振舞いに関する原理です。
 
中心極限定理は、n個確率変数の標本平均とその期待値との差にnの平方根をかけて得られる確率変数の中央部分の分布がnが無限大に近づくとき正規分布に近づくというものでした。
 
これに対し、大偏差原理はその裾野の確率の指数的な減衰率を扱います。
 
トレードにおいて、確率分布のテイルの挙動を知ることや稀事象の発生確率の推定をすることは非常に重要なことです。大偏差原理は、そのような目的のために使える原理です。

2012年9月4日火曜日

確率論における3つのタイプの収束定理(5)

中心極限定理も、その成立を保証する主な前提に注意して適用する必要があります。
例えば、主な前提としては以下のものがあります[1]。
 
  • 確率変数列を構成する確率変数は独立な確率変数でなければならないか、または少なくとも相関が強すぎてはいけません。相関関数が十分に速く減衰する必要があります。
  • 確率変数が必ずしも同一分布にしたがっている必要はありません。しかし、ある分布の分散が他の分布の分散を支配してしまうほどには大きくないことが必要です。
  • 中心極限定理は,、確率変数n個の標本平均のnが無限大となる極限においてのみ適用されます。したがって、正規分布が和の分布の近似として有効であるためには、nが十分に大きくなければなりません。
  • 中心極限定理は、その裾野に関しては何も述べていません。分布の中央部分だけが正規分布によって記述できます。有限で大きいnに対して正規分布による近似が有効である領域の実際の幅は基本分布に決定的に依存します。
 
これらのことに十分注意した上で、中心極限定理を適用することが必要です。
 
参考文献
[1] J.-P.ブショー,M.ポッター,金融リスクの理論 - 経済物理学からのアプローチ -, 朝倉書店,2003.

2012年8月18日土曜日

確率論における3つのタイプの収束定理(4)

3つのタイプの収束定理の2番目の中心極限定理 (Central limit theorem)について論じます。
 
中心極限定理とは、言葉で説明すると以下のようになります。
 
互いに独立で同一分布従う確率変数列を考えます。
その確率変数n個の標本平均と平均との差にnの平方根をかけて得られる確率変数の分布は,nが無限大に近づくとき,平均が0で、分散はもとの確率変数の分散と等しい正規分布に収束する。
 
この中心極限定理も、いろいろな場合に拡張されています。
 
上で行ったような操作、すなわち、ある形のスケール変換をして極限をとれば、普遍法則が現れることは、現在では数学でも物理学でもいろいろな場面で知られています。中心極限定理はその最初のものであるといえます。

2012年8月5日日曜日

確率論における3つのタイプの収束定理(3)

確率論における3つのタイプの収束定理(2)でも書いたように、大数の法則はいつても成立するわけではなく、その適用には注意が必要です。
 
例えば、大数の法則は期待値の存在を仮定しているため、独立で期待値の存在しないような分布にしたがう確率過程については大数の法則の適用は適切ではありません。例として、安定分布においては特性指数が1以下の場合は期待値は存在しませんので、そのような分布にしたがう独立な確率過程に大数の法則を適用するのは適切ではありません。
 
一方、有限な期待値を持つ独立同一分布(independent and identically distributed, 略してi.i.d.と表記されることもあります)にしたがう確率過程以外で大数の強法則が成立することが知られている確率過程にはどのようなものがあるでしょうか?
そのようなものとして、例えば、マルチンゲールと呼ばれる確率過程があります。マルチンゲールにについては、大数の強法則が成立することが証明されています。

2012年7月19日木曜日

確率論における3つのタイプの収束定理(2)

大数の法則は,同一の期待値を持つ確率変数の標本平均が標本数を増やしていく期待値に収束するというものです。その収束の仕方により,標本平均が期待値に概収束する大数の強法則と,標本平均が期待値に確率収束する大数の弱法則とが知られています。
 
大数の法則は,どんなときにでも成立するわけではなく,成立することが現在までに知られている条件は,それほど広い条件ではありません。大数の法則を適用する際には,このことには十分注意すべきであると思います。
 
大数の弱法則が成立するもっとも古くから知られている標準的な条件は,同じ平均と有限な分散を持つ独立な確率変数列という条件です。

2012年7月5日木曜日

確率論における3つのタイプの収束定理(1)

確率論において非常に重要で有益な3つのタイプの収束定理があります。
その3つのタイプの収束定理とは、
 
1. 大数の法則(大数の強法則、大数の弱法則)
Law of large numbers (Strong law of large numbers, Weak law of large numbers)
 
2. 中心極限定理 
Central limit theorem
 
3. 大偏差原理
Large deviations principles
 
です。
極論すると,この3つの収束定理があるがために,確率モデルを使ったモデル化とそのモデルの解析がが有効であったり,統計的な手法が有効であったりするとも言えます。
 
この3つのタイプの収束定理について何回かに渡って論じたいと思います。

2012年5月13日日曜日

バックテストの際に注意すべきこと(2)

バックテストの際に気をつけないといけないことの2つめは、多くの自動売買のプラットフォームではBidの値段によって売買が行われたものとしてバックテストが行われるということです。
 
これは現実からは大きく異なります。現実には、買うときはAskの値段で買うことができ、Bidの値段で買うことは出来ません。
 
これがバックテストでは何を意味するかというと、例えば、
 
  • 指値で買い注文を入れていた場合、実際には約定しないのに約定したと取り扱われることがある。
  • 逆指値で注文を入れていた場合、実際には発注しないのに、発注し約定したと取り扱われることがある。
  • 逆指値での買い注文は、逆指値での売り注文に比べて有利な方向にバイアスがかかる
 
などです。
 
これらの要素がバックテストでのシステムのパフォーマンスに及ぼす影響は無視できないもので、これらを加味した上でバックテストでのパフォーマンスを評価する必要があります。

2012年5月6日日曜日

バックテストの際に注意すべきこと(1)

今回は、バックテストの際に注意すべきことについて思いついたことを書いてみます。
 
多くの人は、トレードシステムを開発して、それで取引を始める際に、
 
まずトレードシステムのコードを書いて、
バックテストによるパラメータの最適化を行い
そのバックテストの結果により使えそうなシステムならばそのシステムで取引を行う
 
という手順を踏んでいることと思います。
 
しかし、バックテストによるパラメータの最適化を行いそのバックテストの結果により使えそうなシステムかどうか判断する際に気をつけなければならないことがいくつかあります。
 
まず第一に、上のようにして得られたバックテストの結果は、パラメータの最適化を行ったうえでの結果なので、カーブフィッティングが行われている可能性があるということです。
カーブフィッティングが過度に行われた結果であれば、実際に取引を行った際には、バックテストで得られたパフォーマンスから悪い方に大きく乖離したパフォーマンスになる可能性が高いです。
 
どのぐらい過度なカーブフィッティングになりやすいかは、最適化を行うパラメータの数、システムの性質、パラメータの最適化手法等によります。
 
このことはよく知られていることではありますが、トレードシステムを開発する際に、このことに関していくら注意深く慎重になってもなり過ぎることはないと思います。
 
このこと以外にも、あまり言われていないことですが注意しなければならないことがあります。
それについては、また次回。

2012年4月3日火曜日

標準的な統計的手法によるトレードシステムのPFの予測(2)

前回の記事のまとめを行います。調べたシステム数が10と少ないですが、以下のようなことが言えそうです。
まず予測期間のPFが予測範囲に入ったシステム数は以下の通りです。
90% ○8 ×2
70% ○7 ×3
50% ○4 ×6
 
これを見ると、大体統計的な予測範囲としてはまあまあ機能してそうです。
ただし、50%の予測範囲でも予測範囲としてはかなり広く、PFの予測範囲の実用性としては、今ひとつかもしれません。検証期間のトレード数を多くするか、使い方にもう一ひねりが必要かもしれません。
一方、PFが1以上になるかどうかに関する情報は、かなり実用性があるように思えます。
 
いずれにしても、さらにシステム数を増やした調査が必要であると思われます。

2012年3月18日日曜日

標準的な統計的手法によるトレードシステムのPFの予測(1)

トレードシステムの性能を評価するためによく使われる指標の一つとしてProfit Factor(PF)があります。

トレードシステムの過去のトレード結果をもとに、そのトレードシステムの将来のPFの予測をすることがどの位出来るものなのか、標準的な統計手法を適用して試してみたいと思います。

ここでは、過去41回から80回(検証期間)の計40回トレード結果をもとに、過去1回から40回(予測期間)のPFを予測することを行ってみます。検証期間でのPFが[0.7,2.5]の範囲にあるトレードシステム10個を適当に選んで試してみた結果を以下に示します。

それぞれの結果ですが、

システム名
取引通貨ペア
検証期間での実際のPF
予測期間での実際のPF
予測期間でのPFが90%の可能性で取る得る値の範囲
予測期間でのPFが70%の可能性で取る得る値の範囲
予測期間でのPFが50%の可能性で取る得る値の範囲
予測期間でPFが1以上になる可能性

を示しています。また取る得る値の範囲の右にある
○、×は、予測期間での実際のPFがその取る得る値の範囲に入っていれば○を、入っていなければ×をつけてあります。


システム1
USDJPY
検証期間のPF: 1.21
予測期間の実際のPF: 1.24
90% [ 0.501,  2.53] ○
70% [ 0.714,  1.94] ○
50% [ 0.868,  1.65] ○
PFが1以上: 65%

システム2
CADJPY
検証期間のPF: 0.712
予測期間の実際のPF: 1.00
90% [ 0.385,  1.22] ○
70% [ 0.489,  1.00] ○
50% [ 0.559,  0.889] ×
PFが1以上: 15%

システム3
EURJPY
検証期間のPF: 0.724
予測期間の実際のPF: 0.873
90% [ 0.380,  1.39] ○
70% [ 0.483,  1.09] ○
50% [ 0.557,  0.941] ○
PFが1以上: 20%

システム4
USDCAD
検証期間のPF: 1.18
予測期間の実際のPF: 0.372
90% [ 0.567,  2.20] ×
70% [ 0.755,  1.74] ×
50% [ 0.884,  1.52] ×
PFが1以上: 64%

システム5
CHFJPY
検証期間のPF: 1.02
予測期間の実際のPF: 0.482
90% [ 0.480,  3.26] ○
70% [ 0.628,  2.01] ×
50% [ 0.746,  1.57] ×
PFが1以上: 54%

システム6
NZDUSD
検証期間のPF: 1.55
予測期間の実際のPF: 1.35
90% [ 0.706,  6.83] ○
70% [ 0.936,  3.44] ○
50% [ 1.12,  2.57] ○
PFが1以上: 81%

システム7
USDJPY
検証期間のPF: 0.740
予測期間の実際のPF: 0.483
90% [ 0.299,  3.73] ○
70% [ 0.410,  2.14] ○
50% [ 0.507,  1.64] ×
PFが1以上: 42%

システム8
AUDJPY
検証期間のPF: 1.03
予測期間の実際のPF: 0.902
90% [ 0.512,  2.25] ○
70% [ 0.670,  1.67] ○
50% [ 0.780,  1.41] ○
PFが1以上: 54%

システム9
USDCHF
検証期間のPF: 2.34
予測期間の実際のPF: 0.421
90% [ 0.970,  5.51] ×
70% [ 1.36,   3.98] ×
50% [ 1.65,   3.30] ×
PFが1以上: 94%

システム10
EURUSD
検証期間のPF: 0.967
予測期間の実際のPF: 0.509
90% [ 0.423,  4.59] ○
70% [ 0.570,  2.19] ○
50% [ 0.688,  1.63] ×
PFが1以上: 51%

2012年3月12日月曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(10)

考えているトレードシステムの過去40回のトレード結果に関して、
1トレードあたりの資産の平均成長率が最大となるf=0.496での
シミュレーション結果を前回示しました。
また、f=0.496でトレードを行うことはあまりにもアグレッシブ過ぎる
(=レバレッジが大き過ぎる)のではないかということを述べました。
このことを観察するために、今回はfの値を変えてみたシミュレーション結果を示します。
トレード結果が、考えているトレードシステムの過去40回のトレード結果の経験分布に従うとして
固定比率トレーディングでトレードした場合の資産の成長率をシミュレーションしたものを
以下に示します。シミュレーションは10万個のサンプルを発生させて行いました。
図の見方は前回と同じです。
上の方の図はf=0.200でトレードした場合のもの、下の方の図はf=0.900でトレードした場合のものを表しています。
今回のものと前回の図を比較してみると、以下の結論が言えるのではないでしょうか?
f=0.496ではレバレッジが大きすぎ、もう少し小さなfでのトレードが望ましい。
f=0.900のような大きなレバレッジでトレードを行うメリットは、まず考えられない。
レバレッジを適切な値に保ってトレードを行うことがトレードで成功するための前提となる必要条件である。





2012年2月26日日曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(9)

トレード結果が、考えているトレードシステムの過去40回のトレード結果の経験分布に従うとして
固定比率トレーディングf=0.496でトレードした場合の資産の成長率をシミュレーションしたものを以下に示します。シミュレーションは10万個のサンプルを発生させて行いました。

横軸はトレード回数で、縦軸は初期資産を1としたときの資産成長率です。縦軸は対数軸で表しています。
Meanは10万個のサンプルの資産成長率の算術平均を、x%(x=75%,50%,10%,5%,2%)は10万個のサンプルの資産成長率のxパーセンタイル値を表しています。

この図を見て分かることは、資産成長率の算術平均は中央値である50パーセンタイル値はよりずっと大きく、トレード回数40回以降では75%パーセンタイル値よりも大きくなっています。このことから言えることは、資産成長率の算術平均で資産が増えていくだろうと考えることは、あまりにも楽観過ぎるということです。
また10パーセントタイル値では、100回のトレードの後、初期資産を減らしてしまっています。
このことから、f=0.496でトレードを行うことはあまりにもアグレッシブ過ぎるのではないかと考えますが、いかがでしょうか?

次回はfの値を変えたシミュレーション結果見て、比較してみることにします。

2012年2月24日金曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(8)

前回,

考えているトレードシステムの過去40回のトレード結果に関して、fを0から1まで変化させていったときの1トレードあたりの資産の平均成長率は,f=0から0.496まではfが増加すると1トレードあたりの資産の平均成長率も増加して,その後減少する。
すなわちf=0.496で1トレードあたりの資産の平均成長率が最大となる。

ということを示しました。

では,f=0.496に対応するレバレッジでトレードを行うのが最もよいのでしょうか?

この答えは,次回シミュレーション結果をお見せし,その結果を観察しながら考えることにします。

2012年2月23日木曜日

メタトレーダー4で勝つために”7つのポイント”4時間セミナー 3月4日@東京

こんにちは。
来る3月4日、東京でMT4のセミナーが開催されます。
エキスパートラウンジにEAをご提供いただいているテラスさん主催のセミナーです。
私も参加しましたが、MT4の基礎的なことがPCを触りながら学べる良い機会でした。
詳細につきましては、以下のリンクからご確認くださいませ。

■セミナー概要
【講演】 ひとりパソコン1台ご用意!
「メタトレーダー4で勝つために絶対知っておくべき7つのポイント 4時間セミナー」
【講師】 株式会社テラス 代表 林
【日程】 2012年3月4日(日曜日)
【時間】 13:00-17:00(12:45~セミナー会場に入れます)(休憩は3,4回を予定)
【料金】 通常9,800円 → 4,980円
【人数】 先着20名様 ※定員に達し次第締め切らせて頂きます。
■セミナー対象者
・メタトレーダー4初心者  (本やブログでメタトレーダー4という言葉を聞いたことがあるというレベル)
・メタトレーダー4未経験者  (デモ版は触ったことがあるが、実際のお金で運用したことが無いというレベル)
・メタトレーダー4で困っている方  (運用したこともあるが独学の為、分からないことが多いというレベル)
上記のような方を対象にしたセミナーになっております。
※ 個人投資家向けのセミナーですので、投資関係の職業に従事されている方はご遠慮ください。
■セミナー内容
0.【基礎知識・用語講座】  30分
・なぜ今、メタトレーダー4なのか?
・自動売買システム「エキスパートアドバイザー(EA)」とは
・「.mq4」ファイルと「.ex4」ファイルの違い
・Pips(ピップス)とは?
・FX取引にかかる費用とは?
・通貨ペアの見方とは?
・投資額を決めるLot(ロット)とは?
・少ない資金で大きなお金を動かすレバレッジとは?
・ポジションを持っていると貰える「SWAPポイント」とは?
1.【メタトレーダー4で勝つために 絶対知っておくべき7つのポイント】  3時間
・独学初心者がつまづくFX会社によって異なる各種設定
~桁数・Digits・最小取引レート取引単位
・スプレッドとFX会社の選び方
~多くの人が気にする詳細スプレッド比較と国内外のFX会社選びの5つのポイント
・FXを取引できる時間帯。
~トレンドが形成されやすい時間帯とBOX相場に成りやすい時間帯
・世界の時差GMTとは?
~ロシア時間とは?サーバー時間とは?夏時間・標準時間とは?
・24時間MT4を稼動させる方法
~24時間自分のパソコンを稼動させるための設定
~VPSより簡単なプチクラウド自動売買の方法
・失敗しないバックテスト・検証の方法
~過去6年分のデータインポート、ピリオドコンバーター、
~適正スプレッド、選択モデルなど
・検証レポートの徹底読み解き
~絶対に押さえるべき5つのポイント、検証制度
~間違えたバックテストを見抜く方法と改善方法
・バックテスト結果を信頼するための条件
~ブログ、サイト上の良すぎるパフォーマンスを見抜く方法
~最低知っておくべき3つポイント
・絶対評価を可能とする「年利・最大ドローダウン率」を求める方法
~本当に知るべき「年利」と「最大ドローダウン率は」メタトレーダーでは分からない
~EAを見極める決定的パフォーマンスを自らの計算により導く
※途中2回程度の休憩を含みます。
2.【テラス掲載の優秀EAを徹底解剖】 30分
・優秀EAのパフォーマンスの見方
・優秀EAと言えど、その投資スタイルは様々。自分の資産運用に合わせたスタイルを見抜く。
・優秀EAが実際にどのタイミングで仕掛けているのか?視覚的に分析します。
・TOP優秀EAとは?
・優秀EAのフォーワードテストについて
・【極秘】優秀EAを裏付ける理由
セミナーの詳細を見る
↓↓↓
http://www.openterrace.jp/detail.html?id=331
■過去の初心者セミナー受講者の声
※今回のセミナーは過去のメタトレーダー4初心者セミナーを経て、もっとも投資家ニーズに答える内容に組み立てたものになります
。以下は今回のセミナーの元になったセミナー受講者の方々の声になります。
・メタトレーダー4の全体像が自分一人で勉強していてはなかなか分からなかった。
全体像をつかむことができて良かった。
・たった2時間でゼロからスタートして詳しく教えていただいて有難いです。
・なかなかMT4は良い書籍がないため助かった。
質問にも丁寧にお答えいただき、感謝しています。少人数制で質問しやすかった。
・バックテストのデータの扱いがわかった。良いシステムトレードの判断方法の進め方がためになった。
・質疑にすぐに答えていただいたのも少人数制ならではのものだと思います。
・初心者で独学だったため、再確認になって良かった
・メタトレーダー4使用上の注意点を聞けたことが良かった。
知らなければ(時間、バックテスト)失敗するケースがあったかもしれない。
・短時間で効率的に知識が身に付きました。
毎回、キャンセル待ちがでる人気のため、
申し込まれる場合はお早目がオススメです。
セミナーを申し込む
↓↓↓
http://www.openterrace.jp/detail.html?id=331

2012年2月15日水曜日

3月3日土曜日に大阪でFX自動売買無料セミナーを開催します。

3月3日土曜日、大阪にて『FX自動売買取引無料セミナー』を開催。詳細、お申し込みは、こちらからどうぞ。
(バナーをクリックすると詳細をご覧いただけます。)
http://www.tsukaeru.net/inq/fm_ev_fx2012_03.php

2012年2月13日月曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(7)

考えているトレードシステムの過去40回のトレード結果に関して、
fを0から1まで変化させていったときの1トレードあたりの資産の平均成長率を
表すと以下のようになります。




この図を見ていただくと分かりますが、
1トレードあたりの資産の平均成長率はfに関する単調増加関数では
ありません。
 
このトレードシステムの過去40回のトレード結果に関しては、
f=0から0.496まではfが増加すると1トレードあたりの資産の平均成長率
も増加していきます。
f=0.496のときに1トレードあたりの資産の平均成長率は最大値を取り、
その値は1.0270になります。
すなわち、証拠金8236/0.496=16600円あたり1単位トレードし、
そのときの1トレードあたりの利益は2.7%になります。
fが0.496より大きくなると1トレードあたりの利益は最大値の2.7%
から減少していき、fが0.886より大きくなると1トレードあたりの
利益はマイナスになってしまいます。

この観察より、
固定比率トレーディングにおいて、レバッレッジを大きくしていくと
1トレードあたりの資産の平均成長率はあるところまでは大きくなるが、
それを超えてレバッレジを大きくすると1トレードあたりの資産の
平均成長率が減少していくことが分かります。

すなわち、
レバレッジを大きくすれば、リスクは大きくなるかもしれないが、
その分(平均的な)利益も大きくなると多くの人が何となく考えていますが、
これは間違いであることが分かります。

2012年2月5日日曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(6)

それでは、前回まで行った設定、仮定のもとで、レバレッジを大きくしていくと何が起きるかを見てみましょう。
トレードシステムとしてエキスパートラウンジからダウンロードできるある無料EAを考えることにします。
このEAの取引対象はAUDCADで、過去40回のトレード結果を経験分布とみなすことにします。
過去40回のトレード結果をヒストグラムで表すと以下のようになります。
このEAでの過去40回の最大損失は-8236円で、1トレードあたりの平均損益は873.15円です。


ここで固定比率トレーディングを仮定して、その固定比率fを0から1まで変化させてみます。
固定比率トレーディングと固定比率fの説明については、このシリーズの(3), (4)を参照してください。
ここでは、固定比率トレーディングのもとで1トレードあたりの対数収益率の期待値を観察することにします。
固定比率fの固定比率トレーディングのもとで1トレードあたりの対数収益率の期待値y(f)は以下の式で計算することができます。
y(f) = E [ log [ (1-f) + f*( 1- (x/MaxLoss) ) ] ]
ここに、xは1トレードの損益を表す確率変数、MaxLossは1トレードで発生する可能性のある最大損益、Eは期待値を表しています。
ここで念のため、fの意味についてもう一度簡単に解説しておきます。
fが0からどんどん大きくなっていくと、それに伴ってレバレッジも大きくなっていきます。
例えば、f=1は、1トレードで発生する可能性のある最大損益MaxLossが発生したとき資産がすべてなくなってしまう取引量での取引で、
f=0.5は資産が半分になってしまう取引量での取引です。
すなわち、固定比率fというのは、現在の資産量をzとすると、f*(z/-MaxLoss)単位での取引を行うことになります。

さて、f=0からf=1までfを増加させていくと、対数収益率の期待値y(f)はどうなるでしょうか?
fを大きくしていけば、リスクは大きくなるかもしれませんが、対数収益率の期待値y(f)は単調に増加していくと思いますか?
この結果は、次回お見せします。

2012年1月29日日曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(5)

多くの人が、レバレッジを大きくすれば、リスクは大きくなるかもしれないが、その分(平均的な)利益も大きくなると何となく考えています。 しかしながら、このことは実は誤解であると言いました。
今回から、このことを固定比率トレーディングを例にとってシミュレーションによって議論していきます。

今回は、まずシミュレーションにおける前提と仮定について述べます。

シミュレーションにおいては以下のことを仮定します。

  1. 取引においては、実数単位の取引が出来るものと仮定します。例えば、整数単位の取引だけではなく、2.358単位の取引や0.003単位の取引が出来ると仮定します。
  2. 各トレードの損益額は、独立同一分布に従う確率変数列であると仮定します。
  3. 各トレードの損益額の分布は、経験分布にしたがうものと仮定します。


仮定1,2のもとで固定比率トレーディングを行うと、資産はトレード回数とともに「平均的には」指数的に増加(あるいは減少)していくことになります。

仮定1,2,3についてそれぞれコメントを下に書いておきます。

仮定1は、シミュレーションを簡単に行うために通常導入される仮定です。この仮定のもとでは、固定比率トレーディングの資産増加を過大に見積もることになります。特に資金量が小さいときは、シミュレーション結果が資産増加を過大に見積もる度合いが大きくなります。

仮定2は、各トレード間の相関を適切にモデルに取り込むことが一般的には簡単ではないために導入される仮定です。もし連続するトレード間に正の相関があるようならば、トレードによる資産成長のばらつきを小さく評価してしまうことになります。また最大ドローダウンも小さく評価してしまう可能性があります。

仮定3は、非現実的な仮定かもしれません。各トレードの損益額の分布が何らかの分布に従うと仮定し、過去のトレード結果から、その分布のパラメータを決めるというやり方の方が適切かもしれません。しかしながら、この場合には、「何らかの分布」を仮定しなければならず、その仮定が現実的であるという保証はありません。結局、仮定3に関する部分は大胆な仮定をおくしかなく、今回は仮定3でシミュレーションを行うことにします。

2012年1月22日日曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(4)

前回の続きである

「FXのような売りからも買いからも入ることの出来るレバレッジのかけられる証拠金取引の場合は、固定比率トレーディングはどう考えるべきでしょうか?」

という部分から始めたいと思います。

固定比率トレーディングとは何かについては前回の記事をご覧下さい。

ここでは、FXでの固定比率トレーディングを以下のように考えることにします。

  1. 1ロットのトレードで発生する可能性のある最大損失額の絶対値を1単位と考えます。
  2. その最大損失が発生したとき、投資した額がすべて失われたものと考えます。すなわち、1ロットのトレードは、1ロットのトレードで発生する可能性のある最大損失額を投資していると考えるわけです。なので、例えば、トレードにより最大損失の絶対値に等しい利益が発生したときには、投資した額が2倍になって回収できたと考えます。
  3. このように考えて、トレードで生じる可能性のある最大損失額、すなわち、トレードするロット数*1ロットでの最大可能損失額の絶対値が、現在の証拠金(=資産)額の何倍になっているかでポジションの大きさを計ることにし、そのポジションの大きさをfで表すことにします。すなわち、現在の証拠金がトレードで生じる可能性のある最大損失額の4倍であるならばf=1/4=0.25になります。


このようなfを考えたとき、fが大きいほど大きなレバレッジをかけてトレードしていることになります。

以前、以下のことを述べました。

多くの人が、レバレッジを大きくすれば、リスクは大きくなるかもしれないが、その分(平均的な)利益も大きくなると何となく考えています。

しかしながら、このことは実は誤解であると言いました。



これは固定比率トレーディングの言葉で言えば、

多くの人が、「fを大きくすれば、リスクは大きくなるかもしれないが、その分(平均的な)利益も大きくなる」と何となく考えています。

という表現になります。

これが正しいのかどうか次回から見ていくことにします。

2012年1月16日月曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(3)

前回、

「適切なレバレッジ」に関しても、多くの人が誤解をしています。
多くの人が、「レバレッジを大きくすれば、リスクは大きくなるかもしれないが、その分(平均的な)利益も大きくなる」と何となく考えています。
しかしながら、このことが実は誤解である

ということを述べました。

今回から、このことが実は誤解であるということを論じたいと思います。

ここでは厳密な議論を行うために、

トレードでのレバレッジのかけ方は固定比率トレーディング(fixed fractional trading)にしたがって行う

ということを仮定します。

固定比率トレーディングとは、

常に現在の総資産の固定比率f (0 <= f <=1)を投資にまわす利益再投資を行う投資法

のことです。

この固定比率トレーディングは、投資法としてはかなりアグレッシブなものかもしれませんが、考え方としてはまあ自然なものではないでしょうか?

固定比率トレーディングは、元々株式等への投資への考え方から生まれたものだと思いますが、FXのような売りからも買いからも入ることの出来るレバレッジのかけられる証拠金取引の場合は、固定比率トレーディングはどう考えるべきでしょうか?
これについては、次回お話します。

2012年1月7日土曜日

システムトレードで成功するために重要にも関わらず多くの人が無視、誤解していることについて(2)

前回、システムトレードで長期に渡って利益を積み上げていくためには、「優れたシステムを使うことが前提になる」。
しかしながら、「この前提には、その前に絶対に必要とされる更なる前提があります」ということを述べました。
さらに、「多くの人はその絶対に必要とされる更なる前提の方を見落とすか、あるいは、無視しています。」ということも述べました。

その「更なる前提」とは、何かお分かりになったでしょうか?

答えは、「適切なポジションサイズを取る」ということです。
これは、言い換えると、「適切なレバレッジを取る」、「適切な資金管理を行う」ということです。
これは、システムトレードで長期に渡って利益を積み上げていくためには絶対に必要とされることなのですが、多くの人はこのことを見落とすか、あるいは、無視、軽視しています。



では、「適切なレバレッジ」とは、どのようなものでしょうか?

「適切なレバレッジ」に関しても、多くの人が誤解をしています。

多くの人が、「レバレッジを大きくすれば、リスクは大きくなるかもしれないが、その分(平均的な)利益も大きくなる」と何となく考えています。

しかしながら、このことが実は誤解であることを次回から示していきたいと思います。