このような人達は、マスコミやマネー、ビジネス関係の雑誌や書籍の格好のネタなので、
このような「短期間の大成功そして急速な転落の物語」が昔からそしてつい最近も流れ
続けています。
そのような「短期間の大成功そして急速な転落の物語」によく出てくる言葉に「お金に対する器」というのがあります。短期間に大成功したけど、その後同じぐらいかそれ以上の速さと落差で転落したのは、その人の「お金に対する器」が持っているお金を扱えるほど大きくなかったからだみたいな言い方がよくされます。
これは正しいのでしょうか?
そもそも「お金に対する器」って何なのでしょう?
「お金に対する器」みたいなよく分からない人間性に関するようなことを出さなくても、確率論的な 思考でレバレッジのことを考えれば「短期間の大成功そして急速な転落の物語」は自然なこととして 簡単に説明出来ます。
「短期間の大成功そして急速な転落の物語」は、要するに大きなレバレッジをかけていたことの帰結 に過ぎません。
これがすべてとまでは主張しませんが、ほとんどは大きなレバレッジをかけていた結果で あるということで説明できると思います。
普通の人がなかなか出来ないような大きなレバレッジのかけ方を知っていたり、たまたま出来る環境に あって、実際に行った結果(トレードビジネスでは、誰でも簡単に大きなレバレッジをかけることが 出来てしまうことに注意です。)なのではないでしょうか?
いかがでしょうか?
多くの人が、レバレッジで簡単に説明出来る事柄を「お金に対する器」というよく分からない高尚な概念 を持ち出して説明しようとするのは、背景に以下のような理由があると考えています。
- 多くの人は確率論的な思考が全く欠けていて、不確定な要素をあまりにもあまりにも小さく評価(か、無視) してしまう。確率論的思考が欠けている多くの人は、実力や能力に比べて、偶然の要素がどれほど大きいかを 感覚的に知らない。
- 多くの人は、レバレッジとリターン、リスクとの関係を知らない。多くの人は、レバレッジを大きくすれば するほどリターンが大きくなると勘違いしている。レバレッジを大きくすればするほど、リスクは大きくなるが、 レバレッジの大きさがある点を超えるとリターンは小さくなって行くことを知らない。 昨今ビジネス書にまで「レバレッジ」という言葉が頻繁に登場するようになり、そこではレバレッジは過度に 肯定的にとらえられている。そのため、レバレッジを大きくかければかけるほどよいという誤った結論を強化している。
- 多くの人は自分に届く情報に「生存バイアス」がかかっていることを意識していない。一人の「短期間の大成功」者 の影にある、レバレッジを大きくかけて、「短期間の大成功」の前に「急速な転落」をしてしまった非常に多数の 人々のことを意識できない。そのため「あったかもしれない過去」のことを全く意識していない。