大数の法則は,同一の期待値を持つ確率変数の標本平均が標本数を増やしていく期待値に収束するというものです。その収束の仕方により,標本平均が期待値に概収束する大数の強法則と,標本平均が期待値に確率収束する大数の弱法則とが知られています。 大数の法則は,どんなときにでも成立するわけではなく,成立することが現在までに知られている条件は,それほど広い条件ではありません。大数の法則を適用する際には,このことには十分注意すべきであると思います。 大数の弱法則が成立するもっとも古くから知られている標準的な条件は,同じ平均と有限な分散を持つ独立な確率変数列という条件です。
確率論において非常に重要で有益な3つのタイプの収束定理があります。その3つのタイプの収束定理とは、 1. 大数の法則(大数の強法則、大数の弱法則)Law of large numbers (Strong law of large numbers, Weak law of large numbers) 2. 中心極限定理 Central limit theorem 3. 大偏差原理Large deviations principles です。極論すると,この3つの収束定理があるがために,確率モデルを使ったモデル化とそのモデルの解析がが有効であったり,統計的な手法が有効であったりするとも言えます。 この3つのタイプの収束定理について何回かに渡って論じたいと思います。